令和2年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立しました。
以下に、概要等をご案内いたします。
「賃貸住宅管理業法法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドライン(重説書含み)、特定賃貸借標準契約書について
※上記の詳細のお問合せは国土交通省(03-5253-8111)及び各地方整備局にご連絡下さい。
令和3年6月15日(火)
①賃貸住宅の維持保全業務、及び、②家賃等金銭の管理に関する業務(①の業務と併せて行なうものに限る)。
200戸以上(駐車場・事業用物件は対象外)。200戸未満であっても任意で登録可能。
上記戸数を満たしている業者は、制度施行から1年以内。
従前の登録制度は法律施行と同時に廃止となるため、従前の登録制度に登録していた業者も、改めて登録手続きが必要となる。なお、令和2年6月30日までに従来の登録制度の登録を受けていた業者は、新たな登録番号における更新回数が(2)で登録される。
登録免許税として90,000円がかかる。また、更新に必要な手数料の額は 18,700 円(オンラインにより登録の更新の申請を行う場合は、18,000 円)。
①賃貸住宅管理業を行なう事務所ごとに、賃貸住宅管理の知識・経験等を有する「業務管理者」を配置する。
②管理受託契約締結前の重要事項(具体的な管理業務の内容・実施方法等)について、書面を交付して説明する。
③管理する家賃等について、口座を分け自己の固有の財産等と分別して管理する。
④業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に定期的に報告する。
①管理業務に関して2年以上の実務経験を有する者で、②国土交通大臣がその実務経験を有する者と同等以上の能力を有すると認めた者
・宅地建物取引士で国土交通大臣が指定する管理業務に関する実務についての講習を修了した者
・令和2年度までに賃貸不動産経営管理士試験に合格し、令和4年6月までに登録した者で、国土交通大臣が指定する講習(令和3年6月~令和4年6月)を修了した者
・令和3年度以降の賃貸不動産経営管理士試験合格者
背景・必要性
- 賃貸住宅は、賃貸住宅志向の高まりや単身世帯、外国人居住者の増加等を背景に、今後も我が国の生活の基盤としての重要性は一層増大。
- 一方、賃貸住宅の管理は、従前、自ら管理を実施する 管理受託契約オーナーが中心であったが、近年、オーナーの高齢化や相続等に伴う兼業化の進展、管理内容の高度化等により、管理業者に管理を委託等するオーナーが増加。
- さらに、賃貸経営を管理業者にいわば一任できる“サブリース方式”も増加。
- しかし、管理業者の介在が増加する中、オーナーあるいは入居者とのトラブルが増加。特に、サブリース方式では、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し、社会問題化。
法案の概要
1.賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設(令和3年6月15日施行)
- 賃貸住宅における良好な居住環境の確保を図るとともに、不良業者を排除し、
業界の健全な発展・育成を図るため、賃貸住宅管理業者の登録制度を創設
委託を受けて賃貸住宅管理業務(賃貸住宅の維持保全、金銭の管理)を行う事業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録を義務付け
※管理戸数が一定規模未満の者は対象外
① 業務管理者の配置
事務所毎に、賃貸住宅管理の知識・経験等を有する者を配置
② 管理受託契約締結前の重要事項の説明
具体的な管理業務の内容・実施方法等について書面を交付して説明
③ 財産の分別管理
管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理
④ 定期報告
業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して定期的に報告
【令和3年4月23日 追加】
国土交通省において、賃貸住宅管理業登録制度の施行(6月15日)に伴い、政省令、解釈・運用の考え方等が一部改正されました。※国土交通省HP・・・以下の詳細のお問合せは国土交通省(03-5253-8111)及び各地方整備局にご連絡下さい。
賃貸住宅管理業法に係る登録申請方法等について
賃貸住宅管理業法FAQ集
「賃貸住宅管理業法法律、政省令、解釈・運用の考え方、ガイドライン(重説書含み)、特定賃貸借標準契約書について
2.サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置(令和2年12月15日施行)
- トラブルを未然に防止するため、全てのサブリース業者の勧誘時や契約締結時に一定の規制を導入
- サブリース業者と組んでサブリースによる賃貸住宅経営の勧誘を行う者(勧誘者)にも、勧誘の適正
- 違反者に対しては、業務停止命令や罰金等の措置により、実効性を担保
サブリース業者・勧誘者による特定賃貸借契約(マスターリース契約)勧誘時に、家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、又は不実を告げる行為の禁止
(2)特定賃貸借契約締結前の重要事項説明マスターリース契約の締結前に、家賃、契約期間等を記載した書面を交付して説明
【令和2年10月16日 追加】
国土交通省において、サブリース事業に関する措置について、「賃貸住宅管理業法の施行に向けた検討会」における議論を踏まえ、具体的な規制の対象を事例等で明示した「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」が策定されました。「サブリース事業に係る適正な業務のための
ガイドライン」のポイント 目的
サブリース事業に係る規制の実効性を確保し、サブリース業者等とオーナーとのトラブルを防止するため、法の規制対象や法違反となり得る具体的な事例を明確化し、これらの規制の内容を関係者に分かりやすく示す
概要
◆規制の対象となる勧誘者の明確化
賃貸住宅の建設請負や土地等の売買の際にマスターリース契約の締結を勧める建設業者や不動産業者、特定のサブリース 業者から勧誘の依頼を受けたオーナーが 「勧誘者」に該当することを明確化
◆禁止される誇大広告・不当勧誘の明確化
誇大広告・不当勧誘として禁止される具体例を明確化
[誇大広告の例]
「家賃保証」「空室保証」などの文言に隣接する箇所に、定期的な家賃の見直しがある場合にその旨及び借地借家法第32条の規定により減額されることがあることが表示されていない
[不当勧誘の例]家賃減額リスクや、契約期間中のサブリース業者からの契約解除の可能性、借地借家法第28条の規定によりオーナーからの解約には正当事由が必要であることについて伝えず、サブリース事業のメリットのみを伝える
◆オーナーに説明すべき家賃減額リスク等の内容の明確化契約締結前に書面に記載して説明しなければならないリスク事項を明確化
○家賃が減額される場合があること
・家賃の定期的な見直しがあり、見直しにより家賃が減額する場合があること
・契約条件にかかわらず借地借家法第32条第1項に基づきサブリース業者が減額請求を行うことができること (ただし、家賃が、経済事情の変動により不相当となったとき等借地借家法上の要件を満たさない限り、減額請求はできないこと)
・オーナーは必ずその請求を受け入れなくてはならないわけではなく、変更前の家賃決定の要素とした事情を総合的に考慮した上で、協議により相当家賃額が決定されること。
・契約期間中でも、サブリース業者から解約される場合があること
・借地借家法第28条に基づきオーナーからの解約には正当事由が必要であること
※国土交通省HP
サブリース事業適正化ガイドラインの策定~法の規制対象を事例等で明確化しました~
「サブリース住宅標準契約書」について
賃貸住宅管理におけるサブリース業者を含む管理業者とのトラブル防止
(KPI) アンケートにおいて、管理業者との間でトラフブルが発生したと回答した
オーナーの割合 約46% (令和元年度(※)) → 15% (約1/3)(令和11年度)
※国土交通省 「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」
(令和元年度)